光と時間
今回は光と時間の話をします。シユウです。
まずは特殊相対性理論で扱われる2つの原理に着目します。
1.光速度不変の原理
突然ですが、みなさんは「光速度不変の原理」という法則を知っていますか?
簡単に言うと「慣性系*1では観測してる人間や周りの環境によらず、光は常に一定の速度で移動する」というものです
例えば、「時速100kmで移動する自動車から時速100kmの速さのボールを投げたときの速度はどうなるんや?」というのを考えた時、思いつく選択肢としてはどんなものがあるでしょうか?
①速度の合計である時速200kmになる。
②ボールそのものは時速100kmで投げているので、そのまま時速100kmになる。
③わからない。現実は非情である。
・・・もちろん答えは①です。車の外から「時速200kmで飛んでいくボール」が確認できます。
でもちょっと待って!車に乗っている人間からしたらボールは時速100kmやん!
と主張する人がいるかもしれません。
実はそれも正解です。内容に間違いはありません。
ただ、起こっている物事をわかりやすくするために「止まっている地面*2」を基準に速度を考えるのが一般的だとされているだけです。
ここまでが前置きです。
この知識を頭に入れたうえで「光速度不変の原理」の説明を見るととても奇妙じゃないですか?
だって車の中から見ても、外から見ても光の速度は変わらないということが書いてあるんですから...
2.相対性原理
相対性原理とは「止まっている時も一定の速度で動いている時も観測者からすると全く同じ運動法則が起こる」ということです。
動いている電車の中で真上にボールを投げた時に、止まっている地面の上で真上に投げるのと同じように、ちゃんと真下にボールが落ちてきてキャッチできるのはこの相対性原理によってどちらの場合でも同じ運動法則が働くからです。
どちらも同じだけの時間をかけてまた手の中へ戻ってきます。
しかし、電車の中で真上に投げたボールというのは上方向だけでなく、電車の進行方向にも速度を持っています。
つまり、外から見るとボールは右上に上がって右下に落ちているということ。
ここで注意しなきゃいけないのは「働く物理法則は同じでも、ボールが移動した距離には大きな差がある」ということ。
移動にかかった時間は同じなので、ボールの平均の速さが距離に応じて速くなっているということなんです。
このように移動する環境の中では、どんなものでも速度が上がるんですね。
これが光速度不変の原理との矛盾点です。
光は常に秒速約3億メートル*3で移動すると決まっています。
・・・つまり「距離に差があって、かかる時間が同じなのに、速度に差がでない」ということが起こりうるんです。
この問題を解決するにはどうするか?
それは「かかった時間が同じではなかった」という風に理解するんです。
これが俗に言われる「時間が引き伸ばされた」とか「時間が縮んだ」ということの正体なんですね。
速く移動すればするほど距離の差も大きくなるので、経過する時間も短くなります。
普通に生活する分にはなんら影響はありませんが。
1年間スペースシャトルで宇宙旅行をして、地球に帰ってきたらそこでは10年の時間がたっていたというのはこういうカラクリがあったんです...