「デロリアン」を真面目に分析してみる④(終)
「デロリアン」シリーズも今回で最終回となります。シユウです。
最後の特徴はいたってシンプル
- タイムトラベル直後に車体が極低温の氷に覆われた状態になる。
これだけです。
前回散々熱の話をしたので、今回は気分転換もかねて氷の話をしていきましょう。
まずは文中にある「極低温」がどれだけ冷たいのかを調べてみました。
絶対零度にきわめて近い低温。その温度範囲は明確ではないが,通常は液体ヘリウム4 (沸点 4.2K) 以下の温度をいう。実験室規模で低温を得るには,80K程度は液体窒素,10K程度は液体水素,1K程度は液体ヘリウム4,0.3K程度は液体ヘリウム3などの寒剤を用いる。(コトバンクより)
...なんとなく液体窒素くらいかとなと思っていましたが、実際はそれよりもずっと低く、ほぼ絶対零度に近い温度であるとのことです。
さすがタイムマシン。僕らの想像のはるか上をいきます。
極低温の定義からすれば液体ヘリウムなるものを用いらなければならないわけですが、劇中の状況からみるに、意図的に極低温にデロリアンをさらしたというわけではなく、結果的にそうなってしまったという方が妥当だと思います。
他に極低温の状況がないか調べてみると、宇宙空間が約3[K]で極低温の条件を満たしていることがわかりました。
ではなぜ宇宙空間は恒星などの熱源があるのにこんなに温度が低いのか?
それはひとえに「温められるものがほぼないから」につきます。
いくら熱くても燃えるものがなければ火はつかないのと似てますね。
宇宙は真空になっていて何もないといわれますが、実際にはごく微量の粒子があるとされています。
その影響で温度は0[K]にはなりませんが、それでも3[K]というとても低い温度になります。
...つまりデロリアンは真空に近い状態にさらされたことになります。
宇宙に飛び出てしまったのかはわかりませんが。
話は変わりますが、皆さんは「エネルギー保存の法則」を覚えていますか?
「外力が働かない時、速度エネルギーとポテンシャル(高さ)エネルギーの和が一定になる」というあれです。
実は大学の物理で習うのですがあれには続きがあって、正確には「外力が働かない時、速度エネルギーとポテンシャル(高さ)エネルギーと圧力エネルギーの和が一定になる」です。
中学や高校では圧力は一定で考えるので最後の部分がはしょられているわけです。
さて、いつかの記事で僕は「デロリアンは光速よりも速く動けるから過去に行ける」という仮説を立てました。
デロリアンが光速で動けば、デロリアンの周囲にある気体は相対的に考えて、同じだけの速度でぶつかってくることになります。
つまり、気体の速度エネルギーがものすごい大きいんですね。
ここで高さの変化がないとして、エネルギー保存の法則を使えば圧力エネルギーがものすごく小さくなる、つまり真空状態になるということがいえます。
そうなれば気体の状態方程式から考えて、温度がものすごく低くなります。
これで極低温の説明は一応できました。
もっともこんなことすれば中の人間は無事では済まないということを無視しなければなりませんが…
これにて「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズに登場するタイムマシン「デロリアン」の考察は終了です。
架空のものを考えるということでかなりガバガバな説明になってしまっているところも多数ありますが、作品の1ファンとしてなかなか楽しめました。
最後にデロリアンの魅力が詰まった動画をそっとおいて終わりにしたいと思います