時計の針捕獲作戦!

一緒に「時間」を追いかけてみませんか?

拡散と時間

お久しぶりです。シユウです。

 

今回は前回の記事で少しだけ触れたエントロピーに関するお話です。

 

 

 

エントロピーが増大する理由

エントロピーとは物質のバラバラ具合のことで、エントロピーが大きい程バラバラで、小さい程かたよっています。

エントロピーは時間の経過とともに大きくなっていきますが、これは組み合わせの総数の大きさが関係して起こっていることです。

 

一定の大きさの空間に対して一定の量の気体を入れたとき、その気体が配置される場所にはいくつかのパターンがあります。

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気体分子の状態例

 

このとき、気体がかたよった状態よりも気体がバラバラになっている状態のほうが圧倒的に数が多いんですね。

すなわち、エントロピーの大きいものの方が小さいものよりも圧倒的に組み合わせの総数が大きいということになります。

 

組み合わせの総数が大きいということはそうなる確率が大きいということなので、時間がたつほど、より可能性が大きいバラバラな状態になっていくということがわかると思います。

 

これが時間経過でエントロピーが増大していく理由です。

ここで注意しなくてはいけないのは、この現象は分子がランダムに動く場合にのみ限られます。つまり、ずっと同じ方向に動いたり、きまった法則にのっとって動く場合はこの限りではありません...

 

ちなみに高校数学の確率を使うと

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上図のように地面の上に球があり、1秒毎に1/2の確率でランダムに右か左に移動する場合、時間がたつとどの程度球はもとある場所から離れていくでしょうか。

 

計算すると、

2秒後に球が元の場所に戻ってきている確率は1/2

4秒後に球が元の場所に戻ってきている確率は3/8

8秒後に球が元の場所に戻ってきている確率は35/128

・・・

 

このように時間がたてばたつほど、球は元ある場所から遠ざかる確率が高くなっているのがわかります。

これで「時間がたつほど、より可能性が大きいバラバラな状態になっていく」がなんとなくわかってもらえたのではないでしょうか。

 

カオス

では、そもそもこの世の物質はランダムに動いているのか?と聞かれたらどうでしょう。

「いや、そんなはずはない。だって学校で運動方程式や物質に働く力の大きさの式を習ったしそれに基づいてるはずだ!」とはじめ僕は思いました。

 

そしてそれは間違いではありませんでした。間違いなく物理法則に基づいて動いており、それゆえに初期条件と働く物理法則で物質の動きは完全に予測できます。

 

ですが、実際はとてもたくさんの外的物質から影響をうけるのでその動きは複雑でランダムに動くのとほぼ違いがありません。

 つまり、完全な乱数ではなく疑似乱数なんですね。根本にはちゃんとしたルールがあるから6V厳選できるのと同じことです。

 

とはいえ限りなくランダムに近いということはランダムに近似してもいいということです。この性質を「カオス」といいます。

 

この世界はカオス的な性質があるのでエントロピーが増加するということです。

 

ちなみに生物を構成する高分子も例にもれずカオス的な性質をもっているので時間がたつとともにバラバラになります。

生物はみな一生懸命にこの変化にあらがって生きているのですが、老化して力が弱まると耐えきれなくなって異常をおこしてしにます。

 

これが老衰の原理です。らしいです。僕は最近このことを知ったんですがめちゃくちゃ怖くないですか?だって自分の死は予約されてるってことなんですよ...?

 

情報量と時間

それはさておき、僕たちはカフェオレを作らないと時間の流れを認識できないわけじゃない。

なら、このエントロピーの増加と時間感覚がどういうふうにつながってくるのか。

 

一説によると脳に蓄積される記憶量の増加と関係があるのではないか?と言われています。

人は生きていくうえで常に記憶を増やし続けています。

記憶が増えるということは情報が整えられるということなのでエントロピーは減少していきます。

この減少の方向が人の感じる時間感覚の方向と一致するのではないか?

そんな話もあります。

 

 

なら逆に記憶を少しづつ消していけば時間が逆行しているように感じるのでしょうか...?

それもひとつのタイムリープの形かもしれませんね。

 

 

 

また、「楽しい時間ほどはやく過ぎて、つまらない授業は長く感じる」という経験が誰しもあると思うのですが、これも情報量の増加と結び付ければうまく説明できそうです。

 

つまり、面白いゲームをしているときなんかは短時間でとてもたくさんの情報量が頭の中に入ってくるので時間が加速したように感じ、つまらない授業を受けているときはほとんど情報が入ってこないので時間が引き伸ばされたように感じているのかもしれないということ。

 

 

退屈な時は何か他のことを考えれば考えるほど時間はすぐに過ぎてくれるのはこのせいかもしれませんね。

 

 

 

 

 

 

補足(3/16)

・「場合の数」という表現をより分かりやすくするため、「組み合わせの総数」という表現に変更しました。

・「エントロピーが増大する理由」に補足説明を加えました。