「デロリアン」を真面目に分析してみる②
今回も引き続きタイムマシン「デロリアン」の検証をしていきます。
今回のテーマはデロリアンの二つ目の条件である、
タイムトラベルした際に出現する場所は、時空を移動した地点と同じであるため、過去または未来に建造物や道路が存在する場合、それらに衝突するなどのトラブルに見舞われることもある。
です。
タイムトラベルした先が同じ場所というのは一見当たり前のように思えますが、実はそうではありません。
なぜなら地球はずっと止まっているわけではなく、自転と公転によってずっと動き続けているからです。
つまり、ただ同じ場所に出るというだけだとほぼ間違いなく宇宙空間上に放り出されてしまう。
これでは使い物になりません…
ではどういうことを考えればいいか?
これも大きく二つに分けることができます。すなわち、
- 出現先が地球の表面上であること
- 出現先の緯度、経度が出発地点と一致すること
という条件が必要になってきます。
では、まず条件1について考えてみましょう。
地球は太陽の周りを約1年(365日)で一周します。
そして、その軌道は円に近い楕円とされています。
地球と太陽の距離は平均で約1億4960万kmなので、この値を使って軌道を円と近似した時の円周を求めてみると、その値はなんと約9億4000万km!!
出現先の許容誤差を±1mとするならその確率は2/940000000000。
百分率に直せば約0.00000000021%です。
成功率がたったそれだけしかないということなんです。
余りにも心もとない数字です...
ならどうするか?
今回は出現先に働く重力の値を調べることでこの問題を解決してみます。
重力をもとめるには中学校で習った物理の公式
をつかいます。G,M,mの値は基本的に一定なので重力Fの大きさはrの値、つまり地球の中心から自分までの距離によってのみ変化します。
タイムマシンが公転軌道上のどこかに出ると分かっているなら、その軌道上で物体に働く力が地球表面上と同じになるような場所を特定できれば、そこが地球の表面上となります。
9億4000万kmという範囲すべてをカバーするには困難かとは思いますが、ひとまずこれで条件1はクリアできました。
次に条件2です。
現在、地球表面の約71%が海面となっています。
当然この値は時代によって変化するのですが、出現先が海面上となることを避けなければならないことには変わりありません。
そのためにも緯度と経度を合わせることはとても重要です。
まず、この話をするうえでひとつ訂正しなければならないことがあります。
先ほど僕は「重力Fの大きさはrの値、つまり地球の中心から自分までの距離によってのみ変化する」といいました。ですがこれは自転の遠心力を考慮していません。
遠心力は重力とは反対方向に働く力ですから、実際は遠心力の分だけ物体に働く力は小さくなります。
この遠心力の力の大きさを決めるのが緯度です。
遠心力は地軸からの距離で変化し、北極、南極で最小(0)、赤道で最大になります。
条件1で地球の場所にあたりを付けたら、次はこの遠心力による重力の細かな変化を測定して緯度を合わせに行くという流れです。
次は経度について考えます。
これは緯度と違い、経度の変化によって物体に働く力が変化することはありません。
そもそも経度の定義が「グリニッジ天文台」という人工物を基準にしているためこれを特定するのは困難です。
人工衛星が利用できるならまだしもそれがない時代に移動するとするならどうしたらいいのでしょうか?
指定された緯度上における陸地と海面の分布を大まかに調べ、そこからあたりをつけるのがいいかもしれません。
海面上の気温はほぼ一定、陸地の気温は表面の凹凸によって激しく変化することを考えればそれも叶うでしょう。
以上の手順をまとめると
- 物体にはたらく重力の値から地球の位置を決定
- 遠心力による重力の微小な変化から緯度を決定
- 指定された緯度上の陸地と海面の分布から大まかな経度を決定
となります。
何にしても作中のように一瞬で移動するということは難しいでしょうが笑。
何かいいアイデアがありましたら是非コメントにお願いします。